HISTORY
29歳のフェリックス・ホフマンは1894年にバイエル社に入社しました。当時、彼の父は長年患っていたリウマチの絶え間ない痛みと、その痛み止めであるサリチル酸ナトリウム薬の副作用に苦しんでいました。苦しむ父の姿を見かねた彼は、科学的な改良を加えた服用しやすいサリチル酸の開 発に着手し、最終的に化合物のアセチル化を完成させました。
そして、1897年8月10日、ついに世界で初めて科学的に純粋で、安定したアセチルサリチル酸の合成に成功しました。
その後、バイエルの化学者によって動物実験・臨床試験などによってアセチルサリチル酸の有用性が確認され、アセチルの「A」とサリチル酸の別名であるスピール酸 「Spirsaure」から「Aspirin」と命名されました。
バイエル社ホフマン氏によって安定したアセチルサリチル酸の合成に成功してから、1世紀を超える長い歴史の中で、アスピリンは解熱鎮痛剤としてだけでなく、抗血小板薬としても様々な疾患においてその有用性が立証されてきました。現在では、多くの国で、抗血小板剤として承認・使用され、心筋梗塞や脳梗塞の再発予防として国内外のガイドラインにおいて高いグレードで推奨されています。[1-10]
世界で初めて「純粋で安定したアセチルサリチル酸」の合成に成功したバイエルンの化学者フェリックス・ホフマン博士。
最初のパッケージ。
実はコルクだった。
1. 日本脳卒中学会 脳卒中ガイドライン委員会「脳卒中治療ガイドライン2021」
2. 米国心臓病協会(AHA)/米国脳卒中協会(ASA)ガイドライン〔Stroke. 2019;50:e344-e418.〕
3. 米国心臓病協会(AHA)/米国脳卒中協会(ASA)ガイドライン〔Stroke. 2021;52:e364-e467.〕
4. 2020年 JCSガイドライン フォーカスアップデート版 冠動脈疾患患者における抗血栓療法
5. 急性冠症候群診療ガイドライン(2018年改訂版)
6. 安定冠動脈疾患の血行再建ガイドラン(2018年改訂)
7. ESC ST上昇心筋梗塞ガイドライン〔European Heart Journal (2018) 39, 119-177〕
8. ESC DAPT 〔Eur Heart J 39(3),213-260(2018)〕
9. ESC 心筋血行再建術 〔Eur Heart J 40 ,87-165(2019)〕
10.ESC 慢性冠症候群 〔Eur Heart J 41,407-477(2020)〕
1897
バイエルの科学者フェリックス・ホフマンがアスピリンの有効成分であるアセチルサリチル酸を化学的に純粋で安定した形で合成することに初めて成功。
1899
アスピリンが商標登録され、世界中で愛用される鎮痛剤となる
バイエルの医薬品が本格的に日本へ輸入される
世界の医薬品:
1920年頃の中国の人気映画女優、阮玲玉(ロアン・リンユィ)が起用された広告(左)
1930年頃のオランダのアスピリン宣伝カー(右)
1900
日本で「Aspirin」が商標登録される。
邦文商標の「アスピリン」、「あすぴりん」、「阿必林」は1902年に登録されている。
1930年頃、日本で発売されていたバイエルアスピリン。
1908
カール・ローデ商会で、医師訪問によるバイエル医薬品宣伝活動を開始。後のプロパー(MR)の先駆けとなる活動を行っていた。
1911
初のバイエル直営企業フリードリヒ・バイエル合名会社が創業される。
1949
Aspirin™ が50歳を迎え、翌年、世界で最も多く販売されている鎮痛剤として初めてギネスブックに掲載される。
1963
初のテレビ広告が放送される。
初のテレビ広告/アスピリン
♪ドイツ・バイエル・アスピリン♪…
1976
狭心症治療剤「アダラート」を発売。
(1985年に高血圧の適応症を追加取得)
1977
WHO(世界保健機関)が「必須医薬品リスト」を発表。アスピリン™」は当初から必須鎮痛薬として含まれていた。
1979
医薬品製造の滋賀工場が操業開始
2001
抗血小板剤「バイアスピリン」を発売。
2007
高脂血症治療剤「ゼチーア®」発売
2011
日本のバイエルが創立100周年を迎える。
2012
抗凝固薬「イグザレルト®」発売
2014
可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激剤「アデムパス®」発売
2022
非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬「ケレンディア®」発売