HISTORY
日本では2001年の抗血小板剤「バイアスピリン®錠100㎎」(アスピリン腸溶錠)発売当初、海外製造所から製品を輸入していましたが、国内の需要増加に伴い、日本国内の工場で製造を開始することになりました。
しかし、バイエル薬品滋賀工場では腸溶錠の製造設備がなかったため、バイアスピリン錠製造ラインの導入は大きな課題となりました。また、製造設備だけではなく、製造方法の経験も無かったため、海外工場を幾度か訪問して製造技術を習得し、滋賀工場に製造設備導入後、何度も製造方法・条件の検討を重ねました。その結果、2003年、念願の国内製造販売の実現に至ったのです。
発売前から社内では盛り上がりを見せていた。
(バイエル薬品社内報Harmony 2000年12月号より)
バイアスピリンの日本販売に先立ち、日本でより受け入れられやすい錠剤にするため、日本の医療現場では錠剤の識別性が重要視されていた背景を踏まえて、ドイツバイエル本社の製造部門に対して錠剤に刻印を施すよう提案していました。しかし腸溶錠の構造上、刻印をすることが技術的に困難であったことから提案は受け入れられず、当初流通していたバイアスピリンは無地の錠剤でした。
どうしても諦められなかったバイエル薬品は、滋賀工場での製造開始を機に、刻印よりさらに識別性を高める方法として、錠剤の表面に印字をする機械を導入。
様々な製造方法の検討を経て、滋賀工場での製造開始となる2003年に、腸溶錠であるバイアスピリンへの印字を成功しました。そして現在までバイアスピリンの表面には、識別性向上のための印字が施され続けています。
印字が施されたバイアスピリン®錠(表面)
製剤への印字技術は年月を重ねるごとに進歩し、現在では錠剤に印字されていることが当たり前になりつつあります。バイエル薬品でも同様に、2002年にバイアスピリンの印字に挑戦し、実現してからもなお、技術を進化させ続けています。様々な種類の印字用インクから、色や発色、製剤との相性を試験し適切なものを選択することや、より細かい文字へ対応する技術の導入を行っています。
2021年には選択的直接作用型第Ⅹa因子阻害剤「イグザレルト®OD錠」、腎性貧血治療薬「マスーレッド®錠」にバイエルで初めて日本語の両面印字を施すことに成功するなど、識別性の高い製品の製造に貢献しています。
両面印字が導入されたイグザレルト®OD錠10㎎、15㎎
マスーレッド®錠5㎎、12.5㎎、25㎎、75㎎