有効性と安全性

国内第III相臨床試験 - 炭酸カルシウム対照比較試験

Shigematsu T. et al.: Clin Nephrol., 70(5), 404(2008)

投与開始時におけるホスレノール群および炭酸カルシウム群の血清リン濃度はそれぞれ8.35mg/dL、8.38mg/dLであったが、投与終了時には5.78mg/dL、5.54mg/dLとなり、投与開始時からの血清リン濃度の変化量は-2.58mg/dL、-2.82mg/dLであった。ホスレノールのリン低下効果は、炭酸カルシウムに対して劣らないことが示された。

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血清リン濃度 (mg/dL) の変化量の比較

  ホスレノール群(n=126) 炭酸カルシウム群(n=132)
変化量 (LS mean ± S.E.) -2.58±0.12 -2.82±0.12
p値 0.1568
LS mean の両群の差(95%信頼区間) 0.24
(-0.09, 0.57)

変化量(二重盲検治療期 — 観察期終了時)

†:投与群を要因,ベースライン値を共変量とした共分散分析

※非劣性の基準:両群の差の95%信頼区間の上限が1.0mg/dLを下回る

投与開始時における補正血清カルシウム濃度はホスレノール群9.02mg/dL、炭酸カルシウム群9.05mg/dLであり、ホスレノール群は投与2 週以降9.2mg/dL 程度で推移した。投与終了時におけるホスレノール群および炭酸カルシウム群のそれぞれの値は9.22mg/dL、9.77mg/dLであり、ホスレノール群は炭酸カルシウム群に比べ有意な低値(p<0.0001: 共分散分析)を示した。

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対象高リン血症を呈する血液透析施行中の慢性腎不全患者 259例
(年齢20歳以上、観察期の血清リン濃度5.6mg/dL以上11.0mg/dL未満の患者)
方法2週間の観察期(Wash Out期)終了後、ホスレノールまたは炭酸カルシウムを1日3回、食直後に8週間投与した。ホスレノールの投与量は750mg/日から開始し、血清リン濃度(目標値3.5mg/dL以上5.5mg/dL以下)および忍容性を勘案しながら750〜2,250mg/日の範囲で容量を調節(1回の増減量は750mg/日)した。炭酸カルシウムは1,500mg/日から開始し、同様に2週間ごとに3,000mg/日、4,500mg/日へと投与量を調節、血清リン濃度低下効果および安全性を無作為化二重盲検法により検討した。

炭酸カルシウムの用法・用量は「通常、成人には、沈降炭酸カルシウムとして1日30gを3回に分割して、食直後、経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する」である。

評価項目主要評価項目 - 血清リン濃度の変化量、高カルシウム血症発現の有無
副次的評価項目 - 治療期終了時の血清カルシウム濃度など

Shigematsu T. et al.: Clin Nephrol., 70(5), 404(2008)

副作用はホスレノール群126例中29例(23.0%),炭酸カルシウム群132例中32例(24.2%)に認められ,主な副作用はホスレノール群では嘔吐14例(11.1%),悪心12例(9.5%),炭酸カルシウム群では胃不快感7例(5.3%),便秘7例(5.3%),腹部膨満5例(3.8%)であった。重篤な有害事象は,ホスレノール群3例(2.4%),炭酸カルシウム群5例(3.8%)に認められたが,いずれも治験薬との関連は否定された。本試験において死亡例は報告されなかった。

投与中止に至った有害事象は,ホスレノール群4例(3.2%),炭酸カルシウム群6例(4.5%)に認められた。このうち,治験薬と関連のある有害事象は,ホスレノール群4例(3.2%),炭酸カルシウム群2例(1.5%)に認められ,ホスレノール群では,嘔吐1例(0.8%),悪心1例(0.8%),悪心・嘔吐1例(0.8%),薬疹1例(0.8%),炭酸カルシウム群では,悪心・嘔吐1例(0.8%),高カルシウム血症1例(0.8%)であった。