脂質異常症 A to Z - エキスパートに聞く!シリーズ
岩手医科大学医学部 内科学講座 糖尿病・代謝・内分泌内科分野 教授
石垣 泰 先生
糖尿病患者は非糖尿病患者と比べて冠動脈疾患及び脳梗塞の発症と再発リスクが高く、動脈硬化性疾患のハイリスク病態であることが知られています。1) 動脈硬化性疾患予防ガイドライン(JAS)2017年版において、一次予防の糖尿病患者は高リスクに分類され、LDLコレステロールを120mg/dL未満に管理することが推奨2) されています。しかしながら、一次予防糖尿病(合併)患者のLDLコレステロール管理目標値の達成率は十分とは言えません。3)
今回は、冠動脈疾患発症リスクが高いとされる糖尿病網膜症を合併した一次予防高コレステロール血症患者を対象に実施されたEMPATHY試験等を紹介し、ハイリスク糖尿病患者の一次予防に対する治療戦略について解説します。
1)Nishimura T, et al.: Eur J Nucl Med Mol Imaging 2008;35;319-328
2)日本動脈硬化学会(編). 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版.
日本動脈硬化学会, 2017.
3)Hasegawa K. et al. J Atheroscler Thromb, 2016; 23: 991-1003
作成年月:2019年11月