吸入プロスタサイクリン誘導体製剤
吸入プロスタサイクリン誘導体製剤であり、患者自身がネブライザを用いて吸入することによって、肺から直接、肺動脈血管に作用します。
優れた臨床効果
NYHA/WHO機能分類クラスIIIの日本人PAH患者に本剤を12週間吸入投与した試験において、第12週の6分間歩行距離及びNYHA/WHO機能分類クラスがベースラインに比べ改善し、52週間吸入投与後においても維持されました(国内第III相試験)。また、NYHA/WHO機能分類クラスIIIまたはIVの原発性肺高血圧症(PPH)または二次性肺高血圧症(SPH)患者に本剤を12週間吸入投与した試験において、第12週における複合エンドポイントに基づくレスポンダーの割合aは、プラセボと比べて有意に高い割合を示しました
(海外第III相試験)。
a 複合エンドポイントに基づくレスポンダー:次の3つの基準をすべて満たす患者の割合
1.第12週の6分間歩行距離がベースラインと比較して10%以上改善
2.第12週のNYHA/WHO機能分類がベースラインと比較して1クラス以上改善
3.第12週までの間に肺高血圧症(PH)の臨床的悪化または死亡が認められない
速やかな効果発現
NYHA/WHO機能分類クラスIIIの日本人PAH患者に本剤を12週間吸入投与した試験において、本剤吸入投与後速やかに肺血管抵抗、平均肺動脈圧の改善が認められました(第12週、国内第III相試験)。また、NYHA/WHO機能分類クラスIIIまたはIVのPPHまたはSPH患者に本剤を12週間投与した試験においても、本剤吸入投与直後の肺血管抵抗、平均肺動脈圧は改善を示しました(第12週、海外第III相試験)。
安全性
国内第III相試験において、本剤が吸入投与された27例中、21例(77.8%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められました。主な副作用は頭痛11例(40.7%)、咳嗽5例(18.5%)、低血圧4例(14.8%)、浮動性めまい3例(11.1%)、潮紅3例(11.1%)、ほてり3例(11.1%)、腹部不快感3例(11.1%)等でした。
海外第III相試験において、本剤が吸入投与された132例中、96例(72.7%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められました。主な副作用は咳嗽44例(33.3%)、頭痛36例(27.3%)、潮紅25例(18.9%)、顎痛19例(14.4%)、ほてり10例(7.6%)、悪心9例(6.8%)等でした。(承認時)
なお、重大な副作用として、出血(頻度不明)、気管支痙攣(頻度不明)、過度の血圧低下(頻度不明)、失神(3.1%)、血小板減少症(頻度不明)、頻脈(1.3%)があらわれることがあります(副作用の発現頻度は国内及び海外第III相試験に基づいています。それ以外で報告されている副作用は頻度不明としました)。
PPH(Primary pulmonary hypertension):原発性肺高血圧症
SPH(Secondary pulmonary hypertension):二次性肺高血圧症