解剖 / 病態編 (テキスト解説)

5. 血圧とは

心臓(解剖図)

血圧は “血管壁に与える血液の圧力” を示し、心臓から拍出される血液量(心拍出量)と末梢血管での血液の流れにくさ(末梢血管抵抗)によってほとんど決まります。このほかには大動脈の弾力性や血液の粘性、血液の循環量なども関わっています。血圧は心拍出量×末梢血管抵抗で算出することができます。


心臓から大動脈へ血液を送り出している状態では、血液を押し出すために心臓は収縮し、押し出された血液によって大動脈の血管壁には圧力がかかっています。これを収縮期血圧(systolic blood pressure: SBP)といいます。大動脈に弾力性がないと、圧力を逃がすことなくそのまま受けることになり、血圧が上がります。


心臓へ血液が戻ってきている状態では、心臓は血液で拡張し、大動脈の血液量が減ることから血管壁にかかる圧力は低下します。これを拡張期血圧(diastolic blood pressure: DBP)といいます。


収縮期血圧と拡張期血圧の差は脈圧といい、動脈硬化の指標の1つになっています。脈圧が大きいほど動脈硬化が進行している可能性が高く、心筋梗塞や脳卒中を起こしやすいといえます。


また、この心臓の収縮・拡張に伴い、脈拍という末梢動静脈系での拍動が起こります。拡張期血圧+脈圧÷3でも近似的な平均血圧を算定することができます。