治療編 (テキスト解説)

14. 利尿薬(作用機序)

利尿薬(作用機序)

(1)サイアザイド系利尿薬
遠位尿細管でのNa+/Cl-共輸送体を阻害し、Na+再吸収を抑制します。また、遠位尿細管でのNa+-Ca2+交換が阻害されるため、Ca2+の保持に働きます。利尿薬の中では強い降圧効果を有しますが、低カリウム血症や糖、脂質、尿酸の代謝に注意が必要です。腎機能低下時の効果は乏しく、慢性腎不全患者ではあまり使えません。

 

(2)ループ利尿薬
ヘンレ係蹄上行脚のNa+/K+/2Cl-共輸送体を阻害し、NaとK+の再吸収を抑制します。これに伴い、尿細管細胞間を通してCa2+とMg2+の再吸収も抑制されます。サイアザイド系利尿薬と異なり、腎血流量や糸球体濾過率の減少に影響を与えないため、腎障害合併高血圧患者に使用可能です。

 

(3)カリウム保持性利尿薬・アルドステロン拮抗薬
アルドステロン拮抗薬および上皮細胞Naチャネル(ENaC)を抑制するカリウム保持性利尿薬(トリアムテレン)は、いずれもK+排泄への影響を与えずにNa+排泄が可能であることから低カリウム血症に対する懸念がありません。しかし、降圧作用は3種のうち最も弱いとされています。

 

・アルドステロン拮抗薬(スピロノラクトン、エプレレノン
アルドステロンはアルドステロン受容体と結合し、ENaCを増加させ、Na+の再吸収を促進します。アルドステロン拮抗薬は、アルドステロン受容体を阻害し、Na+排泄を促進します。また、結果としてK+の排泄を減少させます。


・カリウム保持性利尿薬(ENaC抑制作用を有する利尿薬;トリアムテレン)
遠位尿細管、集合管のNaチャネルを抑制し、Na+再吸収の抑制、K+の排泄を抑制します。