治療編 (テキスト解説)

15. 利尿薬(一覧)

利尿薬(一覧)

サイアザイド系類似薬とは、サイアザイド系利尿薬と構造が異なるものの、サイアザイド系利尿薬と類似した作用を有する薬剤です。

 

カリウム保持性利尿薬のうち、トリアムテレンは上皮細胞Naチャネル阻害作用を有しており、スピロノラクトンやエプレレノンはアルドステロン拮抗薬です。エプレレノンはアルドステロン受容体への選択性が高いことが特徴です(選択的アルドステロン拮抗薬)。

 

利尿薬にはこのほか、炭酸脱水酵素阻害薬や浸透圧利尿薬も含まれます。

[副作用]

<サイアザイド系利尿薬>

  • 低カリウム血症や低マグネシウム血症などの電解質異常、耐糖能低下、高尿酸血症などの代謝へ影響があるため、少量を使用します。
  • 糖・脂質代謝への悪影響を考慮し、β遮断薬との併用は勧められていません。
  • eGFR 30mL/分/1.73m2未満では効果が乏しいため、使用を避けます。
  • 低カリウム血症の予防にはカリウム製剤、カリウム保持性利尿薬などの併用、カリウムを多く含むかんきつ類などの摂取を指導します。
  • 精神的ストレス(職場、家庭)が多い者

 

<ループ利尿薬>

  • サイアザイド系利尿薬と同じ副作用以外に低カルシウム血症や低マグネシウム血症などが挙げられ、脱水の頻度が高いほか、膵炎や発疹に注意します。

 

<カリウム保持性利尿薬・アルドステロン拮抗薬>

  • アルドステロン拮抗薬であるスピロノラクトンやエプレレノンでは、性ホルモン関連の副作用(血経不順、女性化乳房など)がありますが、アルドステロン受容体への選択性の高いエプレレノンのほうが少ないとされています。トリアムテレンには性ホルモン作用はありません。