治療編 (テキスト解説)

21. β遮断薬・α遮断薬(特徴)

β遮断薬・α遮断薬(特徴)

心臓や血管の収縮に関わる交感神経への作用を遮断して降圧するのがβ遮断薬α遮断薬αβ遮断薬です。

 

β遮断薬は心臓の動きが活発であるような若中年者や頻脈傾向にある人、虚血性心疾患を有する患者など心臓を興奮させてはいけない人にも向いています。また、β遮断薬は心不全に対して少量より開始し、慎重にゆっくりと増量することで予後を改善することがわかっています。

 

β遮断薬にはβ1受容体選択性のあるもの、内因性交感神経刺激作用(ISA)のあるもの、α遮断作用のあるものがあります。β1受容体は主に心臓に分布し、β2受容体は主に血管や気管に分布していることから、β1受容体選択性であれば血管や気管に影響を与えず、比較的副作用を抑えることができます。β遮断薬の一部にはβ刺激作用が認められるものがあり、これをISAのあるβ遮断薬としています。

 

αβ遮断薬は糖・脂質代謝への悪影響が少ないという報告があります。また、若年から中高年まで、褐色細胞腫にも有用です。

 

α遮断薬はα1受容体が前立腺に多く分布していることから前立腺肥大症に伴う排尿障害のある患者に有用です。さらに、糖や脂質の代謝を改善することから、糖尿病や脂質異常症の合併症を有する患者にも有用です。臨床上使用されているα遮断薬は通常α1受容体遮断薬のことを指します。