80mgデータ紹介

アダラートCR80㎎/日投与に関する4つの臨床試験の概要です。
いずれもアダラートCR40mg1日1回の単独または併用療法にて効果不十分な高血圧患者を対象に行われました。

1つ目の第Ⅱ相試験1)では、80mg/日の用量設定を目的として40mg1日1回、40mg1日2回、80mg1日1回の3群にて、有効性、安全性を検討し、併せて薬物動態も評価しました。その結果、40mg 1日2回が降圧効果に優れ、安全性は他の2群と同程度であったことから、1日80mg投与時の用法用量として設定されました。

 

この40mg1日2回投与と従来の40mg1日1回投与の有効性、安全性をより多くの症例で検証するため、第Ⅲ相試験として、8週間の二重盲検比較試験2)3)を行いました。40mg1日2回投与は40mg1日1回投与に比べ、有意に大きな降圧度と同程度の安全性を示しました。

 

40mg1日2回投与の長期にわたる安全性、有効性を評価するために、二重盲検比較試験に引き続き、通算52週の長期投与継続試験4)を実施しました。さらに、他剤併用療法における安全性を確認するため、長期併用投与試験5)6)を行い、長期にわたる単独または併用投与の安全性、有効性を確認しました。

1) 梶川麻里子 他:バイエル薬品社内資料,2009(承認時評価資料)

2) Paulson, D.:バイエル薬品社内資料,2012(承認時評価資料)

3) Shimamoto, K. et al.:Hypertens. Res., 37 (1), 69-75, 2014

4) Paulson, D.:バイエル薬品社内資料,2012(承認時評価資料)

5) Paulson, D.:バイエル薬品社内資料,2012(承認時評価資料)

6) Shimamoto, K. et al.:Hypertens. Res., 38 (10), 695-700, 2015

試験1. 第Ⅱ相:二重盲検比較

目的 有効性・安全性・薬物動態
対象(安全性解析対象数) アダラートCR錠40mg1日1回投与で効果不十分な本態性高血圧症患者(35例)
試験デザイン 多施設共同無作為化、二重盲検クロスオーバー比較試験
投与期間 二重盲検治療期:6週間(各用法用量2週間)
用法用量 40mg 1日1回、40mg 1日2回、80mg 1日1回
評価項目

有効性

●主要評価項目:
ベースライン治療期終了時および二重盲検治療期各期終了時のトラフ時坐位血圧(拡張期・収縮期)の差

●副次評価項目:
ベースライン治療期終了時および二重盲検治療期各期終了時の血圧日内推移の差、二重盲検治療期の各期終了時のトラフ時血圧の降圧目標値到達の有無

安全性

副作用,有害事象

薬物動態

薬物動態と薬理作用(降圧効果)の関係

解析方法

治験に組み入れられ、無作為割り付けされた被験者を解析対象とした。なお、割り付けされずに二重盲検治療期に移行しなかった被験者は、原則としてすべての解析から除外するが、個別値の表示等には含めた。

本治験の解析対象集団の定義を以下に示す。

安全性解析対象集団:
二重盲検治療期において治験薬が少なくとも1回投与され、かつ投与後の安全性データが収集された被験者

有効性解析対象集団:
安全性解析対象集団のうち、治験実施計画書からの重大な逸脱が認められず、かつベースライン治療期終了時のトラフ時血圧、及び二重盲検治療期の第1期終了時のトラフ時血圧が測定された被験者

薬物動態解析対象集団:
安全性解析対象集団のうち、治験実施計画書からの重大な逸脱が認められず、重要な採血ポイントにおいて薬物濃度が測定された被験者

梶川麻里子 他:バイエル薬品社内資料,2009(承認時評価資料)
本研究はバイエル薬品株式会社が実施した第II相臨床試験である。

試験2. 第Ⅲ相:二重盲検比較

目的 有効性・安全性・忍容性
対象(安全性解析対象数) アダラートCR錠40mg1日1回投与で効果不十分な本態性高血圧症患者(352例)
試験デザイン 多施設共同無作為化、二重盲検並行群間比較試験
投与期間 二重盲検治療期:8週間
用法用量 40mg 1日1回、40mg 1日2回
評価項目

有効性

●主要評価項目:
二重盲検治療期終了時におけるトラフ時坐位拡張期血圧のベースライン治療期終了時からの変化量

●副次評価項目:
二重盲検治療期終了時におけるトラフ時坐位収縮期血圧のベースライン治療期終了時からの変化量、
達成率;高血圧治療ガイドライン(JSH)2009に基づく降圧目標値に到達した被験者の割合、
反応率;JSH2009に基づく目標血圧(拡張期・収縮期)に到達した被験者、もしくは拡張期血圧がベースライン治療期終了時と比較して10mmHgを超えて低下した被験者の割合

●その他の評価項目:
来院ごとの血圧および脈拍数

安全性

有害事象、バイタルサイン、心電図検査、臨床検査値

解析方法

本治験の解析対象集団を以下のように定めた。

安全性解析対象集団:
二重盲検治療期に少なくとも1回治験薬を投与した被験者。

最大の解析対象集団:
安全性解析対象集団に含まれ、かつトラフ時に測定されたベースライン治療期終了時の有効性データとベースラインより後(二重盲検治療期中)の有効性データが共にある被験者

治療実施計画書に適合した解析対象集団:
最大の解析対象集団に含まれ、8週(スケジュールどおり)の適切な有効性データがあり、かつ治験実施計画書からの重大な逸脱が認められなかった被験者

Paulson, D.:バイエル薬品社内資料,2012(承認時評価資料)
Shimamoto, K. et al.:Hypertens. Res.,37 (1), 69-75, 2014
本試験はバイエル薬品株式会社が実施した第Ⅲ相臨床試験である

試験3. 第Ⅲ相:長期投与

目的 安全性・有効性
対象(安全性解析対象数) 試験②を完了し、継続投与が可能な患者(120例)
試験デザイン 多施設共同、非盲検長期投与継続試験
投与期間 44週間(試験②の二重盲検治療期含む52週間)
用法用量 40mg 1日2回(必要に応じてCa拮抗薬以外の降圧薬を併用可)
評価項目

有効性

トラフ時坐位血圧(拡張期・収縮期)のベースライン治療期終了時からの変化量、
達成率;高血圧治療ガイドライン(JSH)2009に基づく降圧目標値に到達した被験者の割合、
反応率;JSH2009に基づく目標血圧(拡張期・収縮期)に到達した被験者、もしくは拡張期血圧がベースライン治療期終了時と比較して10mmHgを超えて低下した被験者の割合

安全性

有害事象、バイタルサイン、心電図検査、臨床検査値

解析方法

本治験では、6ヵ月間のデータを用いて中間解析を行い、治験終了来院日までのデータで最終解析を行うこととした。

本治験の解析対象集団を以下のように定めた。

安全性解析対象集団:
長期継続治療期中に少なくとも1回治験薬を投与した被験者

最大の解析対象集団:
安全性解析対象集団に含まれ、かつベースラインのデータとその後の長期継続治療期中トラフ時に測定された有効性データが共にある被験者

Paulson, D.:バイエル薬品社内資料,2012(承認時評価資料)
本試験はバイエル薬品株式会社が実施した第III相臨床試験で5ある。

試験4. 第Ⅲ相:長期併用投与

目的 安全性・有効性
対象(安全性解析対象数) アダラートCR錠40mg1日1回とCa拮抗薬以外の降圧薬の併用投与で効果不十分な本態性高血圧症患者(72例)
試験デザイン 多施設共同、非盲検長期併用投与試験
投与期間 長期併用治療期:52週間
用法用量 40mg 1日2回(Ca拮抗薬以外の降圧薬を併用)
評価項目

有効性

トラフ時坐位血圧(拡張期・収縮期)のベースライン治療期終了時からの変化量、
達成率;高血圧治療ガイドライン(JSH)2009に基づく降圧目標値に到達した被験者の割合、
反応率;JSH2009に基づく目標血圧(拡張期・収縮期)に到達した被験者、もしくは拡張期血圧がベースライン治療期終了時と比較して10mmHgを超えて低下した被験者の割合、トラフ時脈拍数のベースライン治療期投与終了時からの変化量

安全性

有害事象、バイタルサイン、心電図検査、臨床検査値

解析方法

本治験では、6ヵ月間のデータを用いて中間集計を行い、治験終了来院日までのデータで最終集計を行うこととした。

本治験の解析対象集団を以下のように定めた。

安全性解析対象集団:
長期併用治療期に組み入れ、少なくとも1回治験薬を投与した被験者

最大の解析対象集団:
安全性の解析に含まれ、かつベースラインのデータとトラフ時に測定された有効性データが共に利用可能な被験者

Paulson, D.:バイエル薬品社内資料,2012(承認時評価資料)
Shimamoto, K. et al.:Hypertens.Res., 38 (10), 695-700, 2015
本試験はバイエル薬品株式会社が実施した第Ⅲ相臨床試験である。
著者にバイエル薬品社員が含まれる。