今さら聞けない医学統計の基本
図 統計的「有意差なし」の適切な解釈
「差がない」のに、仮説検定で「有意差あり」と誤った判断をすること。
「第1種の過誤(typeⅠerror)」とも呼ばれる。
「P<0.05を有意差ありと考えた」、「有意水準は0.05を使用した」、「α=0.05とした」は、いずれも「差がないのに有意差ありと誤った判定が出る確率が5%未満ということを示している。
「差がある」のに、仮説検定で「有意差なし」と誤った判定をすること。
「第2種の過誤(type Ⅱ error)」とも呼ばれる。
検出力とβは 【検出力=1-β】の関係がある。
検出力が0.8(またはβ=0.2)であれば、本当は差があるのに「有意差なし」と見逃す確率が20%に抑えられるということを示している。
(出典:浅井隆:いまさら誰にも聞けない医学統計の基礎のキソ 第3巻,143-145ページ,アトムス,2010(引用))
図 αエラーとβエラー
イントロダクション
「統計的に差がないこと」は、必ずしも「同等であること」を意味しない統計解析結果を正しく解釈するには「P値と有意水準」の適切な理解が必要
P値は「統計的な有意差」は評価できるが、「臨床的な効果の差」は評価できない「統計学的に有意差あり」でも、「臨床的に意義のある差」とは言えないことがある
例)大規模集団においては、「臨床的に意義のある差」が小さくても統計学的に有意差ありとなることがある
研究を始める前に必要なサンプルサイズ(症例数)を推定しておく
サンプルサイズの推定にはα(一般に0.05)、β(一般に0.2)、期待したい群間差を使用する。
適切なサンプルサイズで実施された質の高い研究で有意差なしが得られた場合は、「本当に差がないために有意差が認められない」可能性が高いと解釈
参考資料
1) 浅井隆:いまさら誰にも聞けない医学統計の基礎のキソ第1巻、 第3巻,アトムス,2010