今さら聞けない医学統計の基本

医学統計の基本シリーズ第4回:
リスク比とオッズ比、相対リスクと絶対リスク

Alt tag
Alt tag

糖尿病治療薬と心血管イベントに関する論文なんですが・・・。

どれどれ?『新薬Aは、10,000例を対象としたプラセボ対照ランダム化比較試験が行われ、サブ解析においてA薬群の心血管イベント+死亡(複合)の相対リスクが20%低下することが認められた』

Alt tag

こっちは、『従来薬Bは、プラセボ対照ランダム化比較試験3試験のメタアナリシスが行われ、心血管イベントのオッズ比が0.7[95%CI 0.35 – 1.08]であることが示された』・・・総例数15,000例か。

Alt tag
Alt tag

リスク減少を比べると、新薬Aは0.2、従来薬Bは0.3なので、従来薬Bの方が心血管イベントに対する効果が高いと考えて良いのでしょうか?

若林君、リスク比とオッズ比は違う指標だから、単純には比較できないわよ。
しかも従来薬Bのオッズ比の信頼区間が1をまたいでいるから、そもそも『B投与で心血管イベントのリスクが有意に低下する』とはいえないわね。

Alt tag
Alt tag

そうなんですか??オッズ比とリスク比は、使う場面が違うだけでほぼ同じような指標だと思ってました・・・!(焦り顔)

新薬Aは、心血管イベント+死亡(複合)の相対リスクを20%低下させることが示されているけど、プラセボ群におけるイベント発症確率が低ければ、臨床上はわずかな差である可能性も考えられる。相対リスクよりも絶対リスクでみたほうがいい。

Alt tag
Alt tag

すみません先生…相対リスクと絶対リスクはどのように違うのでしょうか?どうやって計算すれば良いのでしょうか?

では、それぞれの違いと計算方法について確認する前に・・・

Alt tag

そうですね。まずはリスク比、オッズ比の違いから復習していきましょうか。

Alt tag
Alt tag

ハイ!よろしくお願いします。