今さら聞けない医学統計の基本

医学統計の基本シリーズ第4回:
リスク比とオッズ比、相対リスクと絶対リスク
解説1:リスク比とは

リスク比(risk ratio)」=「相対リスク(relative risk:RR)」とは、ある状況下(例:高血圧や糖尿病など)におかれた人とそうでない人とで、ある疾患(例:心筋梗塞や脳卒中など)になるリスクの比を示すものです。リスクとはその疾患を発症する確率を示します。

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ランダム化比較試験の論文でも、「RR」という文字はよく目にします。

そうだね。相対リスクは、薬の有効性・安全性を証明する臨床試験でも用いられる。薬を投与した場合と投与していない場合とを比べ、エンドポイントの発現確率がどの程度違うのかを比で示すことがよくあるんだ。

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相対リスクは、「ある状況下におかれた人の病気になる確率」を「ある状況下にない人が病気になる確率」で割った数値だから、高血圧と脳卒中の関係を例にとると以下のようになるわね。

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図 コホート研究(相対リスクが算出可能)

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相対リスクは20÷8=2.5で、高血圧患者は非高血圧患者に比べ2.5倍脳卒中を起こしやすいということですね。

そうだね。ところで若林君、ケース・コントロール研究って覚えてるかな??

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ハイ。高血圧と脳卒中の関係でいえば、脳卒中患者さんとそうでない患者さんの過去のデータを収集して、高血圧の有無を後ろ向きに調査する研究ですよね。

そうね。イメージにするとこんな感じだね。これで、相対リスクを計算することができるかな?

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図 ケース・コントロール研究(相対リスクは算出不能;オッズ比を算出)

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うーん、後ろ向き研究だということを意識すると・・・得られるデータは「脳卒中患者の高血圧ありの確率」と「非脳卒中患者の高血圧ありの確率」なので、高血圧による脳卒中発症のリスクは計算できない、つまり相対リスクは計算できないということですか?

その通り!ケース・コントロール研究では、相対リスクを求めることができないため、代わりに「オッズ比(odds ratio:OR)」が用いられます

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